規模拡大により省力化が急務に

 エヌエスファームの助川さんは、農業歴22年目の46歳。もともとはバスプロとして活躍していましたが、家業を継ぐことを決意し、兼業として5haからスタートしました。しかし、父の体調不良を機に本業とし、1年で10haに規模を拡大。現在では65ha・100枚の圃場を管理し、3名の社員とともに経営を支えています。

かつては飼料米が多かったものの、昨年から「にじのきらめき」をメイン品種とし、主食用および輸出用米として出荷。コシヒカリ(12ha)やあきたこまちも栽培し、すべて蜜苗(10枚/10a)で作業するなど、作業の省力化に力を入れています。

FJD自動操舵システムで耕耘作業の効率が大幅に向上

経営面積が10haを超えたくらいから、省力化技術について、本格的な導入を考え始めたと助川さん。


「10haくらいが1人で作業する限界の面積だと感じました。当時は刈払い機で草刈りをしていて、作業が終わるころには、最初に刈った草が伸びているんですよ」。

その後、販売代理店(ジャパンアグリサービス)の案内で、2021年に
FJD 農機自動操舵システムAT1 を導入しました。

「びっくりするくらい作業が変わりました」と助川さん。田起こしでは2.4m幅のロータリーを使用していて、手動運転ではどうしても重ね幅が大きくなり無駄が生じていました。自動操舵システムを導入したことで、被せ幅を細かく設定できるようになり、効率が向上。手放しでも高精度の作業ができるようになったといいます。

「代かき作業では5m幅のウィングハローを使用しいるんですが、目視で被せ幅を調節するのは絶対に無理です。ただでさえ水を張っているので確認しづらいし……。自動操舵を使うと、意識しなくて済むので本当にラクですね」

「一番きつい作業が、一番ラクな作業になりました」

自動操舵システムを導入することで、身体的な負担が大きく減ったといいます。

「自動操舵なら手放しで運転できるため、身体への負担が大きく軽減されました。これまで1番忙しかった春作業が、トラクターの中で休憩できるので、特にラクな作業になりましたね」


「それに、自動操舵を導入する前と比べて、1日に作業できる面積も増えたと思います。今では、代かき作業で1日3ha、多いときで4haできています」

さらに、新人スタッフに作業を任せる際も、プロ並みの精度で仕上げられるため、作業の均一化が図れ、経営全体の効率化につながっています。燃料の節約や作業時間の短縮といった経済的なメリットも実感しています。

担い手のレベラー需要が急増

稲敷市では、この5年間でレベラーによる圃場の均平化作業が増加したといいます。これは、担い手の経営面積拡大や区画整備による圃場の合筆が進んだためです。

 助川さんも、スガノ社製の牽引式レベラーを導入し、圃場の整地作業を行っています。圃場内の高低差は水管理の難易度を高め、低い部分では苗の水没による生育不良、高い部分では田面の露出による雑草の発生を招くため、均平化作業が重要となります。

以前はレーザーレベラーを使用して均平化を行っていました。

「生育にムラがなくなり、収穫時の仕上がりが格段に向上します。体感だと、均平作業の有無で収量が1~2俵変わる気がします」と助川さん。ただし、レーザー発光器の設置に手間がかかり、風が強い日は作業ができないなどの課題がありました。また、整地作業が集中する時期には、地域の農家が一斉にレーザーを使用するため、錯光による作業の支障が発生。これを防ぐため、地域の農家でLINEグループを作り、情報共有を行うなどの対策をとっていました。

レベラーシステムAL02で、「自分のペースで作業を進められる」

2025年に RTKレベラーシステムAL02 を導入したことにより、発光器が不要となり、錯光の問題が解消。「自分のペースで作業が進められるようになり、作業効率が大幅に向上しました」と助川さんは評価しています。

レーザーレベラーからRTKレベラーへの移行により、作業のスケジュール管理がしやすくなったことも大きな変化です。これまでは地域の他の農家とレーザーの使用時間を調整する必要がありましたが、RTKではその手間がなくなり、より自由に作業ができるようになりました。もちろん、高低差マップを可視化し、モニターを見ながら作業できるようになったことも大きなメリットだそうです。

まとめと今後の展望

自動操舵システムとRTKレベラーシステムの導入により、作業の効率化、精度の向上、労働負担の軽減が実現されました。特に、自動操舵による負担軽減は大きく、忙しい時期の作業ストレスを軽減するとともに、新人でも高精度な作業が可能になったことは、経営の安定にも寄与しています。.

また、RTKレベラーシステムの導入で、従来のレーザー発光器に関する課題が解消され、圃場整地作業の自由度が向上。生育ムラの改善により、収穫量と品質の向上も期待されています。

今後もさらなる機械化とスマート農業技術の活用を進め、持続可能な米作りを目指していくとのことです。



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